産学公技術交流会 “目からうろこ第18弾!” 報告
1.はじめに
山梨工業会東京支部と東京都立産業技術研究センターの共催で、2024年2月23日(金、天皇誕生日)に“目からうろこ第18弾!~人生100年時代を健やかに生きる~”が、9社の協賛を得て、大田区産業プラザPIO会場とZOOMによるハイブリッド形式で開催されました。会場には、コロナが明けた前回17弾!を超える79名(講師含)の参加者(ZOOMの参加者は8名)がありました。山梨工業会東京支部の伊藤支部長による開会挨拶で始まり、長野理事の司会で4つの講演がありました。高齢になっても健やかに生きるために日頃から留意すべきことなど、興味深い講演で、参加者には大変好評でした。ご参加いただいた、講師の方々、参加者の方々、山梨工業会各支部の方々、そしてご支援頂いた山梨工業会に心より感謝申し上げます。
2.講演会
- 「山梨県における健康寿命延伸の取組について」
山梨県 福祉保健部 健康増進課 衛生指導監 小野 千恵 氏
人生100年時代と言われる中で、働く世代や子育て世代は、自身の健康を気遣うことが難しい状況の中で、「誰一人取り残さない健康づくり」のために、健康づくりの分野のみならず、幅広い分野と連携しながら個人の健康を支える社会環境の向上に取り組んできた結果として、健康寿命全国トップクラスを維持し続けている山梨県の取り組み、山梨県特有の志向、文化などをご紹介頂きました。参加者の皆様がライフスタイルを振り返る切っ掛けになったことと思います。
- 『QOL向上に貢献する製品の開発支援』~ヒトを測る技術の重要性とその活用~
東京都立産業技術研究センター 墨田支所 身体運動計測分野
主任研究員 大島 浩幸 氏氏
障がい者用の車いすや、歩行器などの開発プロセスで、東京都立産業技術センターが行っている「人間の特性、生活空間・環境を活かしたものづくり」の支援事例をご紹介頂きました。生活動作をアシストする機能を有するウェアの筋力が低下した高齢者へ適用することで、活動機会を拡大して健康寿命を延伸することが大いに期待できると、ご高齢の参加者にとって、とても関心の深いテーマであり、皆さん真剣に聴講されていました。
- 『如何に上手く最期を迎えるか』 ~ピンピンコロリは可能か︖~
東京医科大学名誉教授 三木 誠 先生
100年前には40数歳であった我が国の寿命が、社会環境の整備、栄養、医療、介護などの発達でその倍の80歳超まで延びたが、平均寿命と健康寿命との差は相変わらず10年前後あり、ピンピンコロリは難しい状況であり、如何に健康寿命を延ばすかについて多くの文献を基に考察して頂きました。高齢者の健康法として、食(三食、減塩、野菜、蛋白質)、動(3,000歩以上)、楽(楽観的)、眠(最低6時間以上)を実践することが健康寿命を延ばすと、89歳の三木先生から示唆され、聴講者一同感銘を受けました。
- 『あの日に帰りたい』~脳は若返るのか~
山梨大学医学部長 山梨GLIAセンター長
薬理学講座 教授 小泉 修一 先生
脳を構成する神経細胞、神経回路(覚える、思い出せる=シナプス・神経回路可塑性)、神経回路構築におけるグリア細胞の役割まで、脳科学のベースとなる基礎から説明して頂き、グリア細胞を巻き返したり、グリア細胞を移植することで、グリア細胞が古くなった脳の柔軟性を作る(若返る)可能性を、動物実験による具体的な検証データをお示しいただきながらお話し頂きました。まだ基礎研究の段階ですが、加齢に伴う認知症リスクを抱える社会の解決策の一つとして大いに期待したい研究テーマであると参加者一同が感じたことと思います。
3.おわりに
今回の講演も,参加者にとって関心の高いテーマであったため、活発な質疑応答がなされました。また、講演会終了後は、会場内のコンベンションホールで懇親会を開催、62名(講師含)の参加者の皆さんは相互に親睦と交流を深めることができました。次回の交流会は2025年2月24日を予定しております。詳細が決まり次第ご案内しますので、皆さん奮ってご参加くださるようお願い申し上げます。
4.公流会講演、懇親会の様子